「自己理解」のための第一歩、キャリアの棚卸

キャリア形成

はじめに

キャリアの節目に立ったとき、「これまで自分はどんな経験をしてきたのか?」「これから何を大切にして働きたいのか?」と、ふと考える瞬間があるかもしれません。そんなときに大切になるのが、「キャリアの棚卸」です。

キャリアの棚卸とは、自分がこれまでに経験してきた仕事や学び、スキル、人との関わりなどを振り返り、整理する作業です。これは単なる履歴の確認ではなく、自分らしさや価値観、今後の可能性に気づくための「自己理解」の入り口でもあります。

この記事では、「キャリアの棚卸とは何か」「どんな効果があるのか」「具体的な進め方や活用法」について、実践的にわかりやすく解説していきます。


キャリアの棚卸とは?

キャリアの「過去」を見える化する作業

キャリアの棚卸は、「過去にどんな仕事をして、どんな成果を出してきたか」を具体的に振り返る作業です。これは、履歴書や職務経歴書に書く情報を洗い出すことだけでなく、「自分はどんな環境で力を発揮しやすいのか」「何を大切にして働いていたのか」などの内面的な振り返りも含みます。

なぜ“棚卸”と呼ばれるのか?

商売で「棚卸し」は、在庫や売れ筋・不良品を見直し、次の仕入れや戦略に活かすために行います。同じように、キャリアにおいても「これまでの経験・スキル・価値観」を整理することで、次の一歩を明確にするために必要なのです。


キャリアの棚卸で得られる3つの効果

1. 自己理解が深まる

「自分にとってどんな仕事がやりがいを感じたか」「どんな人間関係が合っていたか」などを言語化することで、自分らしさが見えてきます。

2. 強みや実績を再認識できる

過去の成果や挑戦を振り返ることで、「自分にはこんなスキルがあるんだ」と強みに気づくことができます。

3. キャリアの方向性が見えてくる

これからの働き方や目標を考える際に、「過去の経験」がヒントになります。「この分野を伸ばしたい」「これだけは避けたい」といった判断材料になります。


キャリア棚卸の具体的な進め方

ステップ1:これまでの職務や経験を書き出す

  • アルバイトも含め、過去に関わった仕事をすべて時系列で書き出す
  • そのときの役割、業務内容、使ったスキル、成果などもできるだけ詳しく

ステップ2:印象に残っている出来事を振り返る

  • 楽しかったこと、つらかったこと、達成感があったことなどをピックアップ
  • 「なぜそれが印象的だったのか?」を掘り下げることで、価値観が見えてくる

ステップ3:スキルと強みを棚卸しする

  • 実績だけでなく、「どのようなスキルや考え方で乗り越えたか?」に注目
  • ハードスキル(専門知識・技術)とソフトスキル(対人力・工夫力)に分ける

ステップ4:価値観を整理する

  • 「どんなときに充実感を感じたか?」をもとに、働く上で大切にしたい価値観を洗い出す(例:成長、安定、貢献、創造、自由 など)

ステップ5:将来につながるヒントを探す

  • 「これから何を伸ばしたいか?」「どんな働き方をしたいか?」を明確にする
  • 自分の言葉でまとめてみると、面接やキャリア面談にも役立つ

キャリアの棚卸に役立つツール

1. ジョブ・カード

厚生労働省が提供しているキャリアの棚卸に便利なツール。職務経歴、資格、スキル、キャリアプランを記入できるフォーマットが整っています。

2. キャリアの棚卸シート

自作でもOK。A4の紙に「時期」「仕事内容」「成果」「気づき」などを整理するだけでも立派な棚卸になります。

3. キャリアコンサルタントとの面談

一人では気づけないことを、プロの伴走支援で言語化していくことができます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 20代や経験が少ない人でも棚卸は意味ありますか?
→ もちろんあります。学生時代の経験やアルバイト、ボランティアも立派な「キャリア」です。

Q2. ブランクがあるときはどう書いたら?
→ 家事、介護、病気療養なども「人生の経験」として整理する価値があります。学んだことや乗り越えた力に注目しましょう。

Q3. どうしても思い出せないときは?
→ 友人や同僚に「私ってどんな人?」と聞いてみるのもおすすめ。自分では気づけない強みに気づけることがあります。


まとめ

キャリアの棚卸は、「過去の棚を整理すること」ではありますが、 本当の目的は 「これからのキャリアに役立てること」 にあります。

自己理解が深まり、自信を取り戻し、将来の方向性が少しずつ見えてくる。

そんな前向きな変化を生み出す第一歩として、キャリアの棚卸はとても有効です。

今日というタイミングで、ぜひ一度、自分のキャリアに向き合ってみませんか?


【参考リンク】

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