
入社してもすぐ転職してしまう。なぜだろうか。

転職を視野に就職活動をしている就活生が多いようです。
こんにちは、そのみちです。
就活生が転職を視野に入れる3つの理由とは
3月に入り、企業の採用活動が本格化しました。人事担当者は、いかに学生に自社を選んでもらうか、その施策に頭を悩ませていることでしょう。
しかし、現在の就活生の多くは、初めての就職先を一生働き続ける場所とは考えていません。実際、就活生の半数以上が「転職」を視野に入れて就職活動を行っているというデータもあります。3〜5年程度の勤務を経て、そこで得たスキルを活かして次のステージを目指す若者が増えているのです。
会社説明会やインターンシップを通じて企業研究を進めたとしても、初めての就職先が理想の職場になる可能性は低い、と考える学生が多いのが現実です。さらに、終身雇用制度への信頼が薄れた社会的背景も、彼らの意識に影響を与えています。企業側としては、このような現状を理解し、学生が転職を視野に入れる理由や求めるものに対応していく必要があります。
就活生が転職を視野に入れる3つの理由
1. 1社目の会社だけでは自分に合うか判断できない
学生時代に多くの企業研究や自己分析を重ねたとしても、実際に働いてみなければ、自分に本当に合うかどうかは分からないものです。就職後のミスマッチを心配する学生も少なくありません。
「働き続けたい」「縁を大切にしたい」と考える学生もいる一方で、多くの学生が「働いてみないと分からない」「1社目で理想を追い求めるのは難しい」といった将来への不安を抱えています。
2. 1社目の会社では十分な自己成長が見込めない
多くの学生が「自己成長」を求めていますが、新卒で入社した会社がそのニーズを満たしているかどうかは未知数です。社会に出たことがない状態で、自分にとって最適な環境を見極めるのは難しいのが現実です。
そのため、最初の職場でスキルを磨き、得意分野を見つけた後、さらなるキャリアアップを目指して転職を考える学生も増えています。このような「ステップアップ型」のキャリア志向が広がっています。
3. 会社や終身雇用への信頼が低下している
「終身雇用はもう信じられない」——こうした考え方は、特に近年の社会情勢を受けて強まっています。新型コロナウイルスの影響や企業倒産のニュースが、安定した雇用に対する不安を助長しました。
また、会社が突然の経営悪化に陥る可能性や、不測の事態に対応できないリスクを目の当たりにした若者たちは、企業に過度に依存しないキャリア設計を考えるようになっています。
企業が取り組むべきこと
転職が当たり前の時代となった今、企業は就活生の意識の変化に適応する必要があります。彼らがどのようなポイントを重視して企業を選んでいるのかを理解し、それに応える取り組みを進めることが重要です。
就職先選びで重視される5つのポイント
- やりたい仕事ができること
- 給与や賞与が多いこと
- 社風が自分に合っていること
- 自分が成長できる環境があること
- 休みが取りやすいこと
これらのポイントを見ると、20年前の「就職難」の時代とは大きく変わっていることが分かります。当時は「内定をもらえるだけありがたい」という状況でしたが、現在では「自分に合った職場を選ぶ」という考え方が主流です。
こうした現状に対応するため、企業は次のような取り組みを検討すべきです。
アルムナイ組織の活用
優秀な人材ほど、他社から引き抜かれる可能性が高まります。しかし、退職した社員を「裏切り者」とみなすのではなく、外部パートナーとして関係を築くことが重要です。再雇用が可能な環境を整えることも、企業の柔軟性を示すポイントとなります。
副業の解禁
会社だけの収入に頼るのではなく、副業を通じてスキルを磨くことを希望する社員が増えています。副業の解禁は、社員の自己成長を支援するだけでなく、企業に新たなスキルを持つ人材を確保するメリットも生み出します。
ジョブ型雇用の導入
従来の日本企業は、職務内容が明確でない「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。しかし、社員一人ひとりが自分のスキルを活かしやすい環境を提供するためには、職務を明確に定義する「ジョブ型雇用」が有効です。社員がやりたい仕事に集中できる環境を整えることで、成長意欲と成果の向上が期待できます。
SE目線の私見
わたしが就職活動をしていた時代は「どの会社でもいいから、とにかく入社すること」が最優先でした。希望する企業に入るだけで一苦労であり、「やりたい仕事」というよりも「倒産しない大企業」を目指す風潮が強かったように思います。
しかし、近年の社会情勢の変化は、若者の働き方に大きな影響を与えました。不確実性が高まる中で、1つの会社に依存せず、転職や副業を通じてキャリアを築く選択肢が主流になりつつあります。
SEとして20年以上働いてきた経験から言えるのは、どの業界であれ「新しいスキルを学び続けること」が非常に重要だということです。単純作業だけに頼っていると、いずれAIに置き換えられてしまう可能性が高まります。
変化に適応する柔軟性を持ちながら、自分の価値を高める努力を怠らないことが、これからの社会で成功するための鍵となるでしょう。
就活生が転職を視野に入れる背景を理解し、企業としての対応策をしっかりと考えることで、時代に即した人材の確保と育成が可能になるはずです。今こそ、柔軟な働き方を取り入れ、若手人材の未来をサポートする時代です。