はじめに
少子高齢化が進む日本において、若者の雇用の安定と職業能力の向上は、社会全体の活力を保つためにも重要な課題です。特に就職氷河期世代以降の若年層は、非正規雇用やキャリア形成の機会に恵まれないことも多く、若者支援や採用活動のあり方が注目されています。
そこで厚生労働省では、「若者雇用促進法」に基づき、企業の採用活動や職場環境の整備に関する指針を定めています。この記事では、その内容をわかりやすく解説し、キャリア支援や人事担当者が押さえておくべきポイントを紹介します。
若者雇用促進法とは?
法律の目的
若者の職業生活の安定やキャリア形成を支援することを目的とした法律です。平成27年に施行され、企業に対して以下の取り組みを求めています。
主な内容
- 青少年(34歳以下)の募集・採用時の情報提供義務
- 雇用管理改善のための努力義務
- 優良な若者雇用に取り組む企業の認定(ユースエール認定制度)
採用に関する基本的な指針
募集・採用時の情報提供
若者が安心して就職活動を行えるよう、企業は以下の情報を公開することが求められています。
- 過去3年間の採用実績(新卒・中途)
- 平均継続勤務年数
- 平均所定外労働時間(月あたり)
- 有給休暇取得状況
- 育児休業取得実績 など
この情報は「ハローワーク」や企業のホームページなどで確認できる場合があります。
ミスマッチを防ぐための努力
採用活動では、適切な職業紹介やインターンシップの活用などを通じて、早期離職を防ぐ工夫が求められています。
ユースエール認定制度とは?
認定の目的
若者の採用・育成に積極的で、一定の基準を満たす中小企業を「ユースエール認定企業」として認定し、求職者や学生に「安心して働ける企業」として紹介する制度です。
認定基準の例
- 若者の採用実績があること
- 残業時間が一定基準以内であること
- 有給休暇の取得が進んでいること
- 育成方針が明確であること
認定企業のメリット
- ハローワークなどでの重点的な求人紹介
- 厚生労働省のホームページ等でのPR
- 各種助成金の優遇措置
職場環境の整備と支援策
キャリア形成支援
- OJT(職場内訓練)やOFF-JT(職場外訓練)の充実
- メンター制度やキャリアコンサルティングの導入
ハラスメント対策
- パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントを防止するための方針と相談窓口の設置
柔軟な働き方の導入
- テレワークやフレックスタイム制の活用
- 副業・兼業の許容
これらの整備は、若者だけでなく、すべての世代の働きやすさにもつながります。
若者支援のための主な制度・施策
- 新卒応援ハローワーク、わかものハローワーク:若年層向けの専門職業相談窓口
- トライアル雇用制度:試用期間を設けて正社員登用を目指す制度
- キャリア形成促進助成金:訓練制度を導入する企業への助成
まとめ
若者支援や採用に関する指針は、企業側の努力だけでなく、求職者側にとっても安心して働くための大切な情報源です。ミスマッチを減らし、長く働き続けられる職場を作るためにも、企業と若者がともに正しい情報を持ち、理解を深めることが必要です。
採用やキャリア支援の現場で働く人は、これらの制度や指針をしっかり理解し、若者が自信をもって社会に踏み出せる環境づくりを目指しましょう。
【参考リンク】