はじめに
「本当にこのままでいいのだろうか」「この仕事を続けていくべきか」「転職するか、資格を取るか迷っている」
こうした悩みは、誰もがキャリアの節目で一度は抱えるものです。
現代のように働き方や価値観が多様化している時代では、明確な“正解”が見えづらくなっています。そのため、情報ばかりを集めて判断に迷ったり、決断できないまま時間だけが過ぎてしまうこともあるでしょう。
この記事では、キャリア形成において「迷いがちな人」が、どのように意思決定を整理し、自分らしい選択をしていくか。その方策と実践的な意思決定の方法について解説します。
キャリア形成で人が迷う理由
まず、なぜ私たちはキャリアの選択で迷ってしまうのでしょうか?代表的な理由を見ていきましょう。
1. 情報が多すぎて選べない
インターネットやSNSで情報が溢れている現代では、選択肢もアドバイスも非常に多く存在します。
「フリーランスがいい」「資格を取った方がいい」「転職は慎重に」など、正反対の意見も多く、どれを信じていいのかわからなくなることがあります。
2. 他人の目が気になる
「親が心配するから」「世間体が気になるから」「上司に迷惑をかけたくない」
こうした“他人軸”で考えすぎると、自分の本音が見えづらくなり、選択の基準がぶれてしまいます。
3.失敗への不安
「もし失敗したらどうしよう」「思った通りにいかなかったら?」
未来が予測できない以上、100%正しい選択は存在しません。けれどその不確実性が恐怖になり、行動を止めてしまうのです。
迷いを整理する3つの方策
では、どうすれば“迷いの沼”から抜け出せるのでしょうか。以下に効果的な3つの方策をご紹介します。
1. 価値観を明確にする
「自分にとって大事なものは何か?」をしっかり言語化しておくことは、あらゆるキャリア選択の軸になります。
お金、安定、やりがい、家族との時間、挑戦、自分の強みを活かすことなど、価値観は人それぞれです。
価値観カードやワークシートを使って、自分のトップ5の価値観を明らかにするだけでも、判断基準が明確になります。
2. 時間軸で考える
「いまどうするか?」だけでなく、「5年後」「10年後」も視野に入れて考えると、長期的な視点からの選択ができます。
「今は苦しいかもしれないけど、5年後にはスキルが身についているはず」など、将来の自分から逆算して今の行動を選ぶという発想です。
また、人生のどのフェーズにいるかによっても選ぶべき行動は変わります。例えば子育て中であれば“持続可能性”を重視し、50代であれば“社会とのつながり”を重視するなど、時間軸は柔軟に考える必要があります。
3. 小さな行動から始める
「キャリアを大きく変える」と考えるとハードルが高くなります。
大切なのは「小さく試してみる」こと。副業やボランティア、週末にスクールに通うなど、リスクを抑えて動いてみると、現実的な判断材料が得られます。
一歩踏み出すことで「自分には合わない」と気づくことも収穫の一つです。行動から得られる学びは、迷いを次第に小さくしてくれます。
意思決定を支える具体的なフレーム
迷いを整理したあとは、実際に意思決定をしていく必要があります。ここでは代表的な意思決定のフレームをご紹介します。
1. プロコン表(Pros and Cons)
選択肢のメリット(Pros)とデメリット(Cons)を紙に書き出すことで、頭の中を整理できます。
単に感情で判断するのではなく、論理的な比較ができるようになるため、納得感のある決断につながります。
2. SOAR分析(Strengths, Opportunities, Aspirations, Results)
ポジティブな視点で選択肢を評価するフレームです。
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Strengths(自分の強み)
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Opportunities(チャンス)
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Aspirations(将来の理想像)
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Results(得られる成果)
たとえば「転職を考える」場合、自分の強みと活かせる市場、目指したい姿、そこから得られる価値を明確にすることで、前向きな意思決定が可能になります。
3. 「最悪」と「最高」の未来を考える
あえて最悪のシナリオと最高のシナリオを想像してみることで、現実的なリスクを受け入れられるようになります。
「もしダメだったら…」「うまくいけば…」の両面を可視化することで、不安を過大評価せず冷静な判断ができます。
まとめ
キャリア形成で迷うことは、決して悪いことではありません。
迷っているということは、「今のままでいいのか?」という真剣な問いがあるからです。
大切なのは、迷いを放置せず、自分の価値観・時間軸・行動という観点から整理し、適切な意思決定のプロセスを踏むことです。
キャリアに正解はありません。あるのは「自分にとって納得できる選択かどうか」です。
納得のいく人生を歩むために、迷いの中から自分らしい“道”を見つけていきましょう。