オープニング
「苦しかったときの話をしようか」は、森岡毅氏が自身の体験や人生に学び、困難を乗り越えるためのヒントを伝えるエッセイ集です。森岡毅氏は戦略家・マーケターとして活動しており、高等数学を用いた独自の戦略理論、革新的なアイデアを生み出すノウハウ、マーケティング理論等、一連の暗黙知であったマーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」という名で開発し、経営危機に合ったUSJに導入して、わずか数年で劇的に経営再建を果たした経歴を持っている。本書は、そんな森岡氏がわが子のために書きとめた「働くことの本質」が描かれた作品です。
あらすじ
「残酷な世界の”希望”とは何か?」
そんな言葉からはじまる。4人の子供を持つ森岡氏は子供たちが自分の将来や仕事のことを考える際の考え方(フレームワーク)を知っておくことで、キャリアの判断に困った時ときに役立つ「虎の巻」を作ろうと面会ったのがきっかけで本書は生まれたということです。つまり、キャリアに悩む人すべてに役立つ本といえるでしょう。
2.学校では教えてくれない世界の秘密
3.自分の強みをどう知るか
4.自分をマーケティングせよ!
5.苦しかったときの話をしようか
6.自分の”弱さ”とどう向き合うか
おわりに あなたはもっと高く飛べる!
このような構成の本書は
「この世界は残酷だ。しかし、それでも君は確かに、自分で選ぶことができる!」
あたらしい道筋をみつけるために多くの人の手助けになる一冊です。
感想
わたしが本書を読んで、特に大切に記憶しておきたいと思った3点は以下である
人間は生まれつきすべての人間に違いある。平等ではない。言ってみれば「運」であり、「確率」によって自分という人間のオリジナル・スペックがほとんど決まっている。自分で変えられるは自立するまで与えられた環境でどれだけ持って生まれたものを活かせるかということ。自分でコントロールできる変数は3つしかない。
- 己の特徴の理解と
- それを磨く努力と
- 環境の選択
この3つしかないということ
よく考えれば、日本の教育システムも、大量の優秀なサラリーマン(労働者)を生産するように作られている。良い成績をとって、良い大学を出て、大きな会社に入って、安定した生活を送る、それが幸せな成功者の目指す道だと。自分に勝るとも劣らない優秀な人間をたくさん集めて、ピラミッドの階段を登らせて気持ちよく働かせ、最後に圧倒的に儲けるのは資本家であると。汗水たらして働いたサラリーマンの所得にかかる最高税率は5割をゆうに超えるが、汗一滴も流さない資本家の株式配当に対しての税は2割しかかからない。そういうことを知っておくべき。「サラリーマンの外に資本家の世界があることを知った上で、自分を活かす機会にアンテナを張れる人であって欲しい」と「資本家の世界を射程圏に見据えてるパースペクティブを君がもっているかどうか」が大切とのいうこと
Tの人(Thinking):考える力/戦略性が強みになる
特徴として考えることが好き、問題を解くのが好き
趣味は知的好奇心が満たされるもの
Cの人(Communication):伝える力/人と繋がる力が強みになる
友達や知り合いが増えることが好き、人と合うことが好き
趣味は人脈作りが
Lの人(Leadership):変化を起こす力/人を動かす力が強みになる
何かを達成することが好き、高い目的を定めて挑戦することがすき
趣味は達成感を味わうことが生きがいなので、趣味もその嗜好を反映したストイックなもの
自分の好きの動詞をこの強み3つの中に当てはめて、自分の活かせることの働き方を考えることができるということ
まとめ
「キャリアは何十年も走り続けるマラソンのようなもの。」
就活はそのほんの1歩目のスタートに過ぎない。子の成功を願う父親が子に伝えるべき内容の中心は、むしろ、社会人として長いキャリアをどうやって成功させていくか。本質的な原則を教える必要がある。「努力できる好きなこと」を見つけられる発見の成功者になる為に、手助けをすることが何より大切なのだろう。かつての世界経済の16%を占めた日本は、空白と停滞の”平成30年間”を経た、成長する世界から取り残されて、今では僅か6%の存在になった。今、社会人になろうとしている若者、これから社会人になっていく子供たちに日本でどのような社会を過ごしていくのか。どように変えていくのか。我々大人の責任は重大だ。学校教育ばかりに頼ることなく、家庭教育こそが重要だ。親が子にこれからの社会を生き抜くためにできること。これからのキャリアについてしっかりと向き合って話していこう。「苦しかったときの話をしようか」はそんな親子に機会を与えてくれる。